日本一の心配性経営者、質乃蔵の児玉です。
「毎日、朝から晩まで休む暇もなく接客して、ヘトヘトになっている」 「お店にはひっきりなしにお客さんが来ているはずなのに、月末に帳簿を見ると手元に全然お金が残っていない…」
スモールビジネスの経営者や自営業の方から、こんな悲鳴に似た悩みをよく聞きます。 身を粉にして一生懸命働いているのに、利益が出ない。これほど精神的にも肉体的にも辛いことはありませんよね。「もっと集客しなきゃ」「もっと営業時間を長くしなきゃ」と、さらに自分を追い込んでしまう人も少なくありません。
しかし、極度の心配性である私から言わせれば、その努力の方向は完全に間違っています。
もしかすると、あなたの会社が苦しい原因は「売上(客数)」が足りないからではないかもしれません。 実は、「利益率の低い商品を、安くたくさん売ろうとしている(薄利多売)」という、ビジネスにおける致命的な罠にハマっている可能性が高いのです。
今回は、会社を絶対に潰さないために、なぜ私たちスモールビジネスが「高単価・高利益率の商品」を扱わなければならないのかについてお話しします。
2つのメガネ屋、生き残るのはどっち?

商売を長く続け、確実に利益を出し続けるための鉄壁のルール。 それは「利益率の高い商品(高額商品)を考えること」です。
このルールの重要性を理解していただくために、具体的な例え話をしましょう。ここに、2つのメガネ屋さんがあるとします。
- A店:最低でも10万円以上する「高級メガネ店」
- B店:1万円以内で買える「格安メガネ店」
どちらのお店も、商品の利益率自体は同じ「50%」だったと仮定します。 A店(高級店)は、10万円のメガネを1つ売ると「5万円の利益」が出ます。 一方、B店(格安店)は、1万円のメガネを1つ売ると「5000円の利益」になります。
さて、あなたがこれからビジネスを始める経営者なら、どちらのお店を選びますか?
「10万円の高級メガネなんて、そう簡単に売れるわけがない。1万円の格安メガネの方が、たくさんのお客さんが来て絶対に儲かるに決まっている!」
そう思った方は、非常に危険です。 実は、お客さんがたくさん来る「格安メガネ店」には、会社を食いつぶす恐ろしい罠が隠されているのです。
薄利多売に潜む「人件費」という恐ろしい罠

B店(格安店)が、A店(高級店)と同じ「5万円の利益」を出すためにはどうすればいいでしょうか? 答えは簡単です。1万円のメガネを「10人」のお客さんに売らなければなりません。
たくさんのお客さんが来て、飛ぶように安いメガネが売れる。一見、とても繁盛していて素晴らしいお店に見えますよね。 しかし、ここに大きな落とし穴があります。「たくさん売る」ということは、それだけ「接客する従業員がたくさん必要になる」ということなのです。
10人のお客さんが来店すれば、10人分の視力を測り、フレーム選びの相談に乗り、レンズを加工し、レジを打つ必要があります。とてもじゃありませんが、経営者1人ですべてを回すことは不可能です。
結果として、スタッフを何人も雇うことになります。求人広告を出し、毎月の給料を払い、社会保険料を負担し、新人教育をする。莫大な「人件費」と「採用・教育コスト」がかかってしまうのです。 さらに、スタッフが急に辞めてしまえば、また一から採用と教育をやり直さなければなりません。
一方、A店(高級店)はどうでしょうか。 10万円の高級メガネを買ってくれるたった1人のお客さんを、経営者であるあなたがたった1人でじっくり接客して売るだけで、5万円の利益が出せるのです。人件費はゼロ。求人の悩みもゼロです。
格安店(B店)
5万円の利益を出すために、大量に集客し、たくさんのスタッフを雇って高い人件費を払う。
高級店(A店)
5万円の利益を出すために、たった1人で1人のお客様を接客し、人件費をゼロに抑える。
最終的に社長の手元に残る本当の利益(キャッシュ)が多く、そして精神的に楽なのは、明らかに後者の「高級店」なのです。
別の業界でも同じ。「安売り」は自分の首を絞める

これはメガネ屋さんに限った話ではありません。どんな業種でも同じことが言えます。
例えば、「美容室」で考えてみましょう。 「1,000円のスピードカット」のお店を経営した場合、1万円の利益を出すには、1日に10人のお客さんの髪を休む間もなく切り続けなければなりません。体力的にも限界が来ますし、スタッフを雇えば人件費で利益は吹き飛びます。
しかし、「カット+極上ヘッドスパで20,000円」という高単価な美容室ならどうでしょうか。 1日にたった1人か2人のお客様を、完全予約制でゆっくりと丁寧におもてなしするだけで、十分な利益が出ます。お客様の満足度も圧倒的に高くなり、「高くてもまたあなたにお願いしたい」という強固なリピーター(ファン)になってくれます。
資金力もブランド力もある大企業なら、莫大な広告費で大量にお客さんを集め、AIやシステム化で徹底的に人件費を削る「安売り(薄利多売)」でも勝てるかもしれません。 しかし、私たちのような中小企業(スモールビジネス)が、大手の真似をして安売り競争に巻き込まれてしまえば、あっという間に資金も体力も尽きて倒産してしまいます。
20年生き残った「鉄壁の生存戦略」

極度の心配性である私が、20年間ものあいだ借金ゼロで自営業を継続できている最大の理由。 それは、「少人数(人件費がかからない体制)で、高額かつ利益率が高い商品を扱うこと」を徹底してきたからです。
自分の商品を安くして、無理にたくさんのお客さんを集めようとするのは、今日からやめましょう。
私たちが目指すべきは、「大手のいない小さな森(ニッチ市場)」を見つけ、そこで「高くても、あなたから買いたい」と言ってくれる少数のお客さんを大切に接客するビジネスモデルです。 利益率の高い商品を、最小限の人数で売る。 これが、あなたの会社を長期的に守り抜くための「鉄壁の盾」となります。

